住宅ローンを借りて「繰り上げ返済はいつやったらいいですか?」と聞くと「当初10年間は住宅ローン減税があり、繰り上げ返済でローン残高を減らすとローン減税も減ってしまい損になります。住宅ローン減税を最大限利用して、11年目に繰り上げ返済をしたほうがいいです。」と銀行や住宅会社の営業担当者に言われることがあります。果たして10年間は繰り上げ返済しないほうが得なのでしょうか?
住宅ローン減税とは、住宅ローンの年末残高に対して1%(ただし一般住宅は最高40万円、認定長期優良住宅などは50万円)を限度に支払った所得税が還付され、それでも還付しきれない分が住民税(課税所得金額×7%または13.65万円のいずれか小さい額)から減額されます。
住宅ローン減税期間中に繰り上げ返済した場合としなかった場合で比較してみます。
シミュレーション条件
夫、妻、子ども(3歳、0歳)の4人世帯
夫の収入 500万円(正規従業員)
所得控除 136万円[1]
妻の収入 100万円(パート収入)
支払う税額 所得税 11.25万円、住民税[2] 22.40万円
当初借入金額 3,000万円、金利1.34%、35年返済
繰上げ返済 1年経過直後(13ヶ月目)におよそ203万円(期間短縮型)
[1] 基礎控除38万円、配偶者控除38万円、夫の社会保険料50万円/年、生命保険料控除5万円、地震保険料控除5万円
[2] 算出所得割額
表1:住宅ローン減税による減税額と繰上げ返済による利息削減(10年間合計)
繰上げ返済なし | 13ヶ月目に203万円を繰り上げ返済した場合 | ||
ローン減税 | 所得税 | 112.5万円 | 112.5万円 |
住民税 | 132.5万円 | 123.3万円 | |
繰上げ返済による利息軽減 | 0.0万円 | 110.8万円 | |
合計 | 245.0万円 | 346.6万円 |
比較をしてみると、たしかに住民税が軽減される分で繰り上げ返済をしないほうが軽減額が大きいことがわかります。
しかし、繰り上げ返済により軽減された利息まで考慮すると、圧倒的に繰り上げ返済をしたほうが得だということがわかります。
繰り上げ返済をすることにより支払う利息が大きく軽減されるということは、銀行の儲けが少なくなってしまうということです。繰り上げ返済による利息軽減効果は返済開始直後が最大で、あとは期間の経過に伴い繰上げ返済の効果は薄れていきます。銀行側は住宅ローン減税を引き合いに出してでも繰り上げ返済をして欲しくないのは当然です。
住宅会社の営業担当者は銀行からローンに関係する情報や知識を得ていることが多く、そもそも住宅ローン減税について詳しく知らない担当者もいます。
世の中に誤ったアドバイスが溢れているのは住宅会社や銀行の立ち位置が原因かもしれません。
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日時 平成30年10月7日(日)
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場所 静岡駅前会議室LINK
静岡県静岡市葵区紺屋町8-12 金清軒ビル(A館401)
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